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66  カナミ

Author: KAZUDONA
last update Last Updated: 2026-01-12 10:12:11

 テントの中には重苦しい沈黙が流れていた。

 支部長のノードが、椅子に縛り付けられた『ヴォイド・リチュアル・サンクトゥム』の兵士を見下ろし、低い声で問い詰める。

「さて、単刀直入に聞くぞ。お前達の目的は何だ? なぜ精霊を狙う?」

「……フン、殺せ。喋ることはない」

 男は頑なに口を閉ざす。その瞳には狂信的な光が宿っていた。カリナはその様子を少し離れた場所から観察しながら、通信機越しにカシューと小声で話す。

(カシュー、聞こえるか? 今、敵の兵を捕らえて尋問中だ。音声はそっちにも流す)

(了解。それにしても、随分と口が堅そうな相手だね)

 通信機越しにカシューの声が響く。カリナは小さく頷くと、尋問に行き詰っているノードの横に進み出た。

「代わろう。私が聞く」

「カリナ嬢ちゃん? しかしこいつは……」

 ノードが戸惑うのを手で制し、カリナは捕虜の男の前に立った。そして、冷徹な視線で男を射抜く。

「お前は、自分達の組織が悪魔と繋がっていることを知っているのか?」

 その言葉が放たれた瞬間、男の表情が凍り付いた。

「あ……悪魔、だと……?」

「そうだ。以前、私が半殺しにした影霊子爵ヴァル・ノクタリスが言っていたぞ。お前達の組織のトップは、『災禍伯メリグッシュ・ロバス』だとな」

 カリナがその名を告げると、男は顔を真っ赤にして激昂した。

「貴様! 気安くあのお方の名を呼ぶな! メリグッシュ・ロバス様は、この腐った世界を『虚無の儀式』によって浄化し、あるべき姿に戻してくださる崇高な指導者だ! 悪魔などという穢れた存在と一緒にするな!」

 男の反応を見て、カリナは確信した。やはり末端の構成員には、トップの正体は伏せられているのだ。

「崇高な指導者、か。滑稽だな」

 カリナは冷ややかに鼻で笑った。

「教えてやろう。お前が崇拝しているそのメリグッシュ・ロバスの『災禍伯』という称号は、ただの飾りじゃない。魔界における爵位だ。そいつは正真正銘の悪魔なんだよ」

「う、嘘だ! デタラメを言うな!」

「嘘かどうかは、あの世で確かめればいい。もっとも、悪魔に魂を売ったお前が行ける場所があるかは知らないがな」

 カリナは冷酷に言い放つと、隊員に合図を送った。

「隊員、拘束しろ」

「了解にゃ! 影よ、鎖となりて縛り上げるにゃ! アストラル・バインド星幽束縛!」

 隊員が発動した魔法により
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  • 聖衣の召喚魔法剣士   61  緑の戦乙女

     エデンを飛び立ち、ペガサスに乗って北西へ。眼下には雄大な景色が広がる。高度が上がるにつれ風は冷たくなり始めていたが、ペガサスの発する魔力の加護と、ルナフレアから渡された厚手のコートのおかげで、空の旅は快適そのものだった。 やがて右手遠くに、堅牢な城壁に囲まれた巨大な都市が見えてきた。無数の塔と城壁が幾重にも連なる、武骨ながらも美しい石造りの国。「あれが初期五大国の一つ、今の騎士国アレキサンドか……」 かつてゲーム時代、メインキャラであるカーズも、そしてこのサブキャラであるカリナも、冒険のスタート地点として選んだのがこの国だった。騎士や剣士など、物理防御と攻撃に特化した兵科を多く輩出する国。兄設定であるカーズがカシュー達とエデンを建国するずっと前、初心者時代に剣の腕を磨いた場所でもある。懐かしい景色に目を細めつつ、カリナはそこを通過し、さらに西へと進路を取った。 何度か地上に降りてペガサスを休ませ、隊員と軽食をとりながら進むうちに、太陽は西の地平線へと沈みかけ、空が紫と茜色のグラデーションに染まり始めた。「隊長、そろそろ日が暮れますにゃ。お腹も空いたにゃ」「そうだな。夜間の飛行は視界も悪いし、今日はこの辺りで宿をとろう」 カリナは眼下に見えてきた街の近くにペガサスを降ろした。労いの言葉と共に送還し、隊員を連れて徒歩で街の南門へと向かう。 見えてきたのは、高い石壁に囲まれた街。近づくにつれ、カリナは違和感を覚えた。記憶にあるここ「ザラーの街」は、ゲーム開始直後のプレイヤーが集まる、のどかで開放的な初心者用の街だったはずだ。 だが、目の前にあるのは、無数の傷跡が刻まれた分厚い城壁と、物々しいバリケード。100年という時は、平和だった始まりの街を、魔物の脅威に晒される最前線の拠点へと変貌させていたのだ。 石造りの門の前には、二人の兵士が立っていた。槍を持ち、アレキサンドの紋章が入った鎧を着ているが、その眼差しは鋭く、妙に殺気立っている。「止まれ。これより先はアレキサンド領ザラーの街だ。身分証の提示を」「ああ、冒険者だ」 カリナは首に掛けていたギルドカードを外し、兵士に手渡した。兵士は事務的な手つきでカードを受け取り、そこに刻まれたランクと名前を確認する。そして次の瞬間、その目が驚愕に見開かれた。「えっ……Aランク!? それに、名前はカリナ……

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